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NPO法人を設立するには?——設立認証から登記までの流れをわかりやすく整理します

2026.9.29

こんにちは。
神戸市灘区のくじら行政書士事務所です。

9月も終わりに近づき、朝晩は少しずつ過ごしやすくなってきましたね。季節の変わり目ですので、皆さまどうぞ体調に気をつけてお過ごしください。

さて、今回はNPO法人の設立についてお話ししたいと思います。

NPO法人と聞くと、ボランティア団体や地域活動をしている団体をイメージされる方が多いかもしれません。
でも実は、NPO法人は障害福祉や介護、子ども支援など、福祉の分野でも広く活用されています。

当事務所にも、障害福祉事業を始めるにあたって「株式会社や合同会社ではなく、NPO法人で始めたい」というご相談をいただくことがあります。

ただ、NPO法人は株式会社などとは設立の方法が大きく異なり、法務局で登記をするだけでは設立できません。

この記事では、NPO法人とはどのような法人なのか、設立するためにどのような手続きが必要なのか、大まかな流れを整理してご紹介します。

NPO法人とは?

NPOとは「Non-Profit Organization」の略で、日本語では「非営利組織」と訳されます。
NPOという言葉自体は法人格を持たない市民活動団体なども含む広い意味で使われますが、そのうち特定非営利活動促進法(NPO法)にもとづいて法人格を取得した団体が「NPO法人(特定非営利活動法人)」です。

「非営利」と聞くと、「利益を出してはいけない団体」と思われることがありますが、そういう意味ではありません。
NPO法人も事業を行って収益を得ることはできます。

ただし、株式会社のように得られた利益を構成員へ分配することはできず、その利益は、法人の目的である特定非営利活動に係る事業に充てていくことになります。

NPO法人が行う活動は、法律で20分野の「特定非営利活動」が定められています。
その中には、たとえば次のようなものがあります。

  • 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
  • 社会教育の推進を図る活動
  • まちづくりの推進を図る活動
  • 子どもの健全育成を図る活動

このように福祉分野の活動も含まれているため、障害福祉サービスや子どもの支援などを行う法人として、NPO法人が選ばれるケースもあります。

NPO法人を設立するための主な要件

NPO法人を設立するには、いくつかの要件を満たす必要があります。
代表的なものは次のとおりです。

  • 社員が10人以上いること
  • 理事が3人以上いること
  • 監事が1人以上いること

ここで注意したいのが、「社員」の意味です。
NPO法人の「社員」とは、法人に雇用されている従業員のことではありません。
社員総会を構成し、法人の重要な事項について議決を行うメンバーのことをいいます。

そのため、「自分ひとりでNPO法人を立ち上げたい」という場合には、株式会社や合同会社とは違い、この社員数の要件がハードルになることがあります。

このほかにも、

  • 役員のうち報酬を受ける人は、役員総数の3分の1以下であること
  • 役員の中に、配偶者や親族が一定数以上含まれていないこと
  • 社員の資格の得喪について、不当な条件をつけないこと
  • 宗教活動や政治活動を主な目的としないこと

など、活動内容や法人の運営方法について一定の要件があります。
設立を考え始めた段階で、一度確認しておくと安心です。

NPO法人設立までの大まかな流れ

NPO法人の設立は、大きく分けると次のような流れで進めていきます。

① どのようなNPO法人を作るのかを決める
↓
② 定款や事業計画書などを作成する
↓
③ 設立総会を開催する
↓
④ 所轄庁へ設立認証申請を行う
↓
⑤ 縦覧・審査
↓
⑥ 設立の認証
↓
⑦ 法務局で設立登記を行う
↓
⑧ 所轄庁へ設立登記完了の届出を行う

それぞれ順番に見ていきましょう。

① どのようなNPO法人を作るのかを決める

まずは、設立するNPO法人の内容を整理します。
たとえば、次のような項目を決めていきます。

  • 法人の名称
  • 法人の目的
  • どのような特定非営利活動を行うのか
  • 具体的にどのような事業を行うのか
  • 主たる事務所をどこに置くのか
  • 誰を社員・役員にするのか
  • 事業年度

この段階で大切なのは、今予定している事業だけでなく、今後どのような活動をしていきたいかも、ある程度整理しておくことです。

NPO法人の場合、設立後に定款に記載されていない事業を新たに始めようとすると、定款変更について所轄庁の認証を受ける必要があります。
この認証手続きでも縦覧や審査が行われるため、思い立ってすぐに事業を追加できるわけではありません。

「今やりたいこと」だけでなく、「将来こんなこともやっていきたい」という視点も持ちながら、法人の目的や事業内容を考えておくとよいでしょう。

② 定款や事業計画書などを作成する

法人の内容が決まったら、設立認証申請に必要な書類を作成していきます。
主な書類は次のとおりです。

  • 定款
  • 役員名簿(役員報酬の有無も記載します)
  • 役員の就任承諾書及び誓約書
  • 役員の住所又は居所を証する書面(住民票など)
  • 社員のうち10人以上の者の名簿
  • 確認書(宗教・政治活動を主目的としないこと等の確認)
  • 設立趣旨書
  • 設立についての意思の決定を証する議事録
  • 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
  • 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

株式会社などと比べると、事業計画書や活動予算書など、NPO法人ならではの書類が多いのが特徴です。
設立当初から2年分の計画と予算を考える必要があるため、事業の見通しをしっかり立てておくことが大切です。

③ 設立総会を開催する

書類の準備ができたら、通常は設立総会を開催します。
設立総会では、主に次のような事項について決議します。

  • NPO法人を設立すること
  • 定款の内容
  • 役員
  • 事業計画
  • 活動予算

ここで作成する議事録が、設立認証申請の際に必要な「設立についての意思の決定を証する議事録」になります。

④ 所轄庁へ設立認証申請を行う

NPO法人の大きな特徴のひとつが、法人を設立する前に、所轄庁から「設立認証」を受ける必要があることです。

書類がそろったら、主たる事務所の所在地などに応じた所轄庁へ設立認証申請を行います。
たとえば、神戸市内にのみ事務所を置くNPO法人の場合は、神戸市が所轄庁になります。

株式会社や合同会社であれば、必要書類を準備して法務局で設立登記をすれば設立できますが、NPO法人の場合は、まずこの認証手続きを経なければなりません。

⑤ 申請後は「縦覧」と「審査」が行われます

設立認証申請が受理されると、申請書類の一部が、受理した日から2週間、一般に公開(縦覧)されます。
その後、所轄庁による審査が行われ、認証または不認証が決定されます。

認証・不認証の決定は、原則として縦覧期間が終わってから2か月以内に行われます。

つまり、NPO法人の場合、

「来月から事業を始めたいので、今月中に法人を作ろう」

というスケジュールでは、まず間に合いません。

NPO法人の設立を考えている場合は、実際に事業を始めたい時期から逆算して、余裕を持って準備を始めることが大切です。

⑥ 設立の認証

審査の結果、要件を満たしていると判断されると、所轄庁から設立の認証がされます。

ただし、ここで注意していただきたいのは、認証を受けた時点では、まだNPO法人は成立していないということです。

⑦ 法務局で設立登記を行います

認証の通知を受けたら、法務局で設立登記を行います。
設立登記は、認証の通知があった日から2週間以内に行う必要があります。
なお、認証から6か月を経過しても登記がされない場合には、認証が取り消されることがあります。

そして、この設立登記が完了することで、NPO法人が成立します。

つまり、NPO法人の設立には、

所轄庁への「設立認証申請」
+
法務局での「設立登記」

という2段階の手続きが必要になるということです。

なお、法務局への登記申請は行政書士の業務ではないため、当事務所では提携している司法書士と連携して手続きを進めています。

⑧ 登記が終わった後にも届出があります

設立登記が完了したら、所轄庁に対して設立登記完了の届出を行います。

さらに、実際に事業を始めるにあたっては、事業内容に応じて次のような手続きも必要になります。

  • 税務関係の届出
  • 社会保険・労働保険関係の手続き
  • 銀行口座の開設
  • 各事業に必要な許認可や指定申請

法人ができたらすべて終わり、というわけではありませんので、設立後の手続きも含めて準備しておきましょう。

障害福祉事業を始める場合は「法人設立」と「指定申請」は別の手続きです

当事務所では、障害福祉事業所の開設や運営についてのご相談をいただくことも多いのですが、障害福祉事業を始めるためにNPO法人を設立する場合には、特に気をつけていただきたいことがあります。

それは、

NPO法人を設立しただけでは、障害福祉サービスを始めることはできない

ということです。

障害福祉サービスや児童発達支援、放課後等デイサービスなどを始めるには、法人設立とは別に、事業所の人員・設備・運営に関する基準を整えたうえで、行政へ指定申請を行う必要があります。

また、指定申請では、一般的に、法人の定款に行おうとする事業が記載されていることが求められます。
先ほどお伝えしたとおり、NPO法人は設立後に事業を追加しようとすると定款変更の認証が必要になりますので、設立の段階から、定款の事業内容を指定申請に合わせて検討しておくことが大切です。

そのうえで、

  • いつ法人を設立するのか
  • いつ物件を契約するのか
  • いつ職員を採用するのか
  • いつ指定申請を行うのか
  • いつ事業を開始するのか

といった全体のスケジュールを整理しながら進めていくことが重要です。

「NPO法人を作ってから障害福祉事業のことを考える」のではなく、事業開始までの流れを見据えて、法人設立と指定申請の準備を並行して考えていきましょう。

NPO法人以外の法人形態も選択肢になります

障害福祉事業を始めるからといって、必ずNPO法人にしなければならないわけではありません。
株式会社、合同会社、一般社団法人などで障害福祉事業を行うこともできます。

それぞれ設立の方法や運営の仕組みが異なるため、

  • どのような事業を行いたいのか
  • 将来的にどのくらいの規模にしていきたいのか
  • どのようなメンバーで運営していくのか

などによって、合う法人形態は変わってきます。

「福祉事業だからNPO法人」と最初から決めてしまうのではなく、ご自身の事業に合った法人形態を一緒に考えてみることも大切です。

まとめ

今回の内容を整理すると、次のとおりです。

・NPO法人は利益を出すこともできるが、構成員に分配することはできず、特定非営利活動に係る事業に充てる

・設立には、社員10人以上、理事3人以上、監事1人以上などの要件がある

・まず所轄庁へ設立認証申請を行い、認証を受けた後に法務局で設立登記を行う2段階の手続きが必要

・申請後は2週間の縦覧と審査があり、認証までに一定の期間がかかる

・定款のほか、設立趣旨書、2事業年度分の事業計画書・活動予算書など、NPO法人特有の書類が必要

・障害福祉事業を始める場合は、法人設立とは別に指定申請が必要なため、全体のスケジュールと定款の事業内容を早めに検討しておくことが大切

おわりに

今回は、NPO法人を設立する際の大まかな流れについて整理しました。

NPO法人の設立は、株式会社や合同会社と比べて手続きに時間がかかり、準備する書類も多くなります。
特に障害福祉事業の開始に合わせてNPO法人を設立する場合には、法人設立だけでなく、その後の指定申請や人員・設備の準備も含めて、全体のスケジュールを考えることが大切です。

くじら行政書士事務所では、NPO法人の設立認証申請や定款の作成・変更のほか、障害福祉事業所の開設や各種手続きについてもご相談を承っています。

「NPO法人を設立したいけれど、何から準備すればよいかわからない」
「障害福祉事業を始めるために法人を作りたいけれど、どの法人形態がよいか迷っている」

そんなときも、どうぞお気軽にご相談ください。

行政書士 内藤紗也